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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 036.成し遂げられず

「うおおおぉぉぉっ!!」
「ウッジュウウゥゥゥっ!!」

D-2の館の中で、精霊サラマンダーの少女ミレイと
怪生物グッチョリンのヌドロゥの戦いは続いていた。

お互いが一歩も引かぬ熱戦の中、しかしミレイは
焦りを感じ始めていた。

(……コイツ……ダメージが回復してやがる……!?)

そう、ミレイがヌドロゥに与えたダメージが
時間とともにどんどん回復しているのだ。

これはグッチョリンの種族が持つ再生能力が原因だ。
戦いに時間をかければかけるほど、ヌドロゥはミレイから与えられた
ダメージを回復してしまうのだ。
しかし、ミレイのほうはヌドロゥに与えられたダメージを
回復することができず、少しずつ消耗していってしまう。

既に、戦いが始まってからかなりの時間が経過しており、
ミレイの消耗はかなり激しくなっていた。

(……まずいぞ……!
 支給されたヒールポーションは戦闘中には使えないし……!
 ここは、いったん引くか……!?)

ミレイは一瞬そう考えるが、しかしそれはミレイの誇りに傷が付く。

この殺し合いで勝ち抜き、優勝すると決めたばかりなのだ。
それなのに初戦から敗走するなど、ミレイには我慢ならない。

(……はっ、そうだよな!逃げるなんて、馬鹿馬鹿しいぜ!
 ここで負けるなら、所詮私はその程度ってことだ!)

ミレイはニヤリと笑って、改めてヌドロゥに向き直る。

「……よう、グチョグチョ。そろそろ終わらせようぜ?
 次の一撃で決着を着けるんだ。
 私の最大の一撃と、お前の最大の一撃で……」

ミレイは一か八かの誘いをかける。
ちまちました攻撃では、再生能力を持つこの怪生物を倒すことは不可能。
ならば、ミレイの最大の一撃をカウンターで叩き込む。

この誘いに相手が乗ってくれば、ミレイにも勝機はあるはずだ。

「……ウジュっ!」

ヌドロゥは承知したと言わんばかりに、
ファイティングポーズ(のようなもの)を取る。

(……乗ってきたっ!)

ミレイは胸中で快哉を上げる。
しかし、喜んでばかりもいられない。
勝負はここからが本番なのだから。

この強敵に打ち勝つには相手の攻撃をかいくぐり、
自分の最大の一撃を叩き込まねばならないのだ。

(いくぞ……!ここが勝負どころだ……!)

ミレイは戦の魔女の槍を構え、ヌドロゥに狙いを定める。
ヌドロゥもそれに倣うように、腰(?)を深く落とす。

「……おおおおおおぉぉぉぉっ!!」
「……ウッジュウウゥゥゥゥっ!!」

そして次の瞬間、この熱戦の雌雄を決するべく、
炎の少女と怪生物が衝突した。




肩まで伸ばした銀髪に黒いローブを着た10代半ばの少女と、
少女の形をした泥人形が森の中を歩いている。

精霊使いのアイシスと土の精霊ソイルのチコリだ。
アイシスはチコリと協力関係を結んだ後、支給品を確認して
自分に支給された聖銀のナイフ10本を懐に忍ばせ、
魔術師のローブを元々着ていた青い服の上から装備していた。

……ちなみに、チコリの支給品である木槌と木の盾は
アイシスに出会う前に、チコリによって土に還されてしまった。
土の精霊であるチコリにとって、それらは大きめの木の破片でしかなく、
そのまま放置するよりは土に還すほうが理に適っていると思ったからだ。

もちろん、チコリからそのことを聞いたアイシスは頭を抱えた。
大した支給品ではなかったようだが、それでも貴重な武器と防具が
何の意味もなく消費されてしまったのだから、無理もないだろう。

とはいえ、いつまでも嘆いていても仕方が無いので、
アイシスはチコリに「今後は自分の許可なく勝手にものを土に還さないように」
と言い含めておき、この件については早々に頭から締め出した。

「えーと……そろそろ、館が見えてくると思うんだけど……」

アイシスは地図を確認しながら、周りをきょろきょろと見渡す。
アイシスとチコリの二人が目指しているのは、D-2の館だ。

二人の初期位置であるD-3から一番近い場所にある施設が
D-2の館だったので、とりあえずはそこに行くことにしたのだ。

アイシスは、各施設に最低一人は参加者が転送されているのではないかと考えていた。
もしその考えが正しいなら、すぐに館に向かえば他の参加者に出会えるはずだ。

「……あ、館が見えてきたわ。
 友好的な参加者に出会えればいいわね、チコリ」
「……シンダキガ、タクサン。ツチニカエシテアゲナキャ。
 ……ナニカイッタ、アイシス?」
「……ごめん、チコリ。何でもないわ。
 あと、あの館は土に還しちゃ駄目よ?」
「?……ウン、ヨクワカラナイケド、ワカッタ」

チコリの返答に乾いた笑いを浮かべながら、アイシスは改めて
土の精霊と人間の思考回路は全然違うと思い知ったのだった。


……と。


ガシャアアアアアァァァァンっ!!


「っ!?」

いきなり館の2階の窓が割れて、何かが落ちていく。
その落ちていく何かは、燃え盛る少女の姿をしていた。

「あれは……サラマンダーっ!?」
「ウン、ソウダネ。サラマンダーダネ」

驚くアイシスとは裏腹に呑気な返答をするチコリ。
そんなやり取りをしているうちにサラマンダーは下へと落ちていき、
そのまま地面に叩き付けられる。
どうやらサラマンダーは怪我をしているようで、
傷付いた身体を起こそうと必死にもがいていた。

それを見たアイシスはサラマンダーを助けるために、
急いで彼女の元に向かおうとする。

「いくわよ、チコリ!」
「?……ドコニ?」
「……とにかく、私についてきて!」

どこまでもボケた返答をするチコリに
アイシスは若干苛立ちつつも、指示を出す。

ほんの少し、アイシスの胸にチコリを仲間にしたことを後悔する気持ちが過ぎったが、
悪いのはチコリではなく、精霊使いとして修業不足な自分だと思い直す。

(……今はそんなことを考えている場合じゃないわ!
 すぐに、あのサラマンダーを助けてあげないと!)

アイシスは雑念を振り払って、全速力で館へと走っていった。




「ぐっ……うぅっ……!
 くそっ、あのグチョグチョ……!
 この私を、騙しやがって……!」

身体中の所々にヌドロゥの酸による焦げ跡を作ったミレイは、
よろよろと身体を起こして、悔しそうに唸る。

ミレイの勝負の誘いに、ヌドロゥは乗ったフリをしたのだ。
そして、馬鹿正直に突っ込んでくるミレイの大振りの攻撃を
ヌドロゥはあっさりと避けると、伸ばした身体の一部で
ミレイを転ばせて、窓に向かって放り出した。

その際に、ヌドロゥはミレイに強力な酸性の粘液をたっぷりと浴びせて、
ミレイの身体を焼き焦がしていた。

それによって大ダメージを受けてしまった今のミレイには、
既にヌドロゥと戦う力は残っていなかった。

「くっ……!この私が……こんな……!」
「ウッジュウゥゥゥゥっ!!」
「なっ……!?」

いきなり頭上から聞こえてきた声に、驚いたミレイが見上げると
同時に、ミレイの身体にぐちゃっとヌドロゥがのしかかってきた。

「う、くっ……!放せっ……!このっ……!」

ヌドロゥに捕まったミレイは、先ほど捕まったときと同じように
全身から炎を出して、ヌドロゥを追い払おうとする。

だが、消耗しきったミレイの身体には炎を出す力は残っていなかった。

そして……。


ジュウウウウゥゥゥゥゥっ!!


「がっ……!?ガアアアあぁぁああぁアァァぁぁぁぁっっ!!?」

ミレイに張り付いたヌドロゥの身体から、酸性の体液が溢れて、
ミレイの身体を焼き焦がし、夥しいほどの煙を発生させる。

「あガアァァァァアアァァァっっ!!?
 ギィアああアァァァァアアあぁァァっっっ!!?」

全身を襲う耐え難い激痛に、ミレイは喉を迸らせて絶叫する。

ミレイの華奢で細い身体からは黒ずんだ煙が上がり、
嫌な匂いを立ち昇らせる。
裏返って白目になった瞳からは涙があふれ出て、
口からは血の混じった涎と泡が吹き零れていく。

正気を失いかねない凄まじい激痛の中で
ミレイの頭に過ぎるのは、死の恐怖。

(……死ぬ、のか……?私は……こん、な……ところ……で……?)

それは、嫌だ。
まだ、自分は一人も倒していない。
何も成していないのだ。

このまま終わってたまるか。

この殺し合いで優勝するのは、自分なのだ。

(……う、ご……け……!うごけ……よ……!)

既に指が溶けて無くなった腕を伸ばしながら、
ミレイはヌドロゥの身体を押し退けようと必死に足掻く。

しかし……!


ジュウウウウゥゥゥゥっ!!


「ア……アァァ……ァ……ァ……!」

ヌドロゥの身体からは無慈悲に酸があふれ出て、
ミレイの身体を焼き焦がし、溶かしていく。

既に少女の形すら成していないミレイの身体は、
ヌドロゥの酸によって、どんどん形が崩れていく。

(……イ、ヤ……ダ……コンナ、トコ……ロ……デ……)

もはやピクリとも動かない身体を、
それでも必死に動かそうとミレイはもがく。

このまま死にたくない。
まだ自分は生きていたい。
こんなところで終わりたくない。

しかし。

(……、……、……)

結局、誰一人として仕留めることも無く。

ヌドロゥに一矢報いることすらもできず。


サラマンダーの少女ミレイは、死んだ。




アイシスとチコリが館に辿り着いたときには、
サラマンダーは既に息絶えていた。

それも、身体中を酸によって無残に焼かれ、溶かされた状態で。

「……ひ……酷い……!」

あまりにも凄惨なサラマンダーの死に、
アイシスは顔を青くして、口元を押さえる。

「……アイシス、ツチニカエシテアゲテモイイ?」

一方、チコリは特にショックを受けた様子もなく、
死んだサラマンダーを土に還したがっている。

「……え、ええ……お願い、チコリ……。
 この子も、こんな姿を人に見られたくないだろうし……」

アイシスは口元を押さえながら、チコリに許可を出す。
チコリはすぐにサラマンダーの溶けかかった身体を
自分の身体で包み、サラマンダーの身体を分解し始める。

それを横目に見ながら、アイシスは周りを警戒する。

(サラマンダーを殺したグッチョリン……。
 私たちに気が付いて逃げたみたいだけど、
 隙を見つけて不意打ちをしてこないとも限らない……)

下手をすると、自分たちもこのサラマンダーのように
殺されてしまうかもしれない。

こんな酷い死に方など、絶対にごめんだ。
アイシスはサラマンダーの二の舞にならないように、
気を張り詰めさせて、周囲の警戒を続けた。

「オワッタヨ、アイシス」
「……お疲れ様、チコリ」

どうやら、チコリのほうは終わったらしい。

そのことにアイシスはほっとする。
とりあえず、埋葬の隙は突かれなかったようだ。

そして、その隙を襲われなかったということは、
あのグッチョリンは完全にこの場から去ったのだろう。

アイシスはそう判断し、気を取り直して館の中を調べることにした。

「……?」

と、そこでアイシスはサラマンダーの死体があった場所に
槍と胸当て、そして袋と首輪が落ちていることに気が付いた。

(……あのサラマンダーの支給品ね。それから、首輪も……)

アイシスは迷わずにそれらを回収し、自分の袋に収納する。

(……悪いけど使わせてもらうわね、サラマンダー。
 貴女のことは助けられなかったけど、
 貴女の分まで私たちはこの殺し合いに反抗するわ。
 だから、どうか安らかに眠ってね……)

目を閉じて、死んだサラマンダーに対して祈るアイシス。

……ちなみに、そのサラマンダーは殺し合いに乗っていたのだが、
アイシスには知る由もなかった。




「ウッジュゥ……」

館の近くの木の上に気配を殺して潜みながら、
アイシスとチコリを注視する存在がいた。

もちろん、先ほどミレイを殺したヌドロゥだ。

ヌドロゥはミレイを無残に殺したことで興奮し、
雄叫びを上げようとしたところで二人を見つけて
慌てて逃走し、近くの木の上に隠れたのだ。

勝利の興奮が冷めぬうちに次の獲物を見つけたヌドロゥは
そのまま二人に襲い掛かりたくなる衝動を必死に抑えた。

なぜなら、ヌドロゥの身体はミレイとの戦いにより
相応のダメージと疲労が蓄積されており、二人を相手にするには
いささか厳しかったからだ。

ミレイは一撃の勝負に出なければ勝利は無いと考えていたが、
それは間違いだった。
確かにヌドロゥの身体の傷は徐々に再生していたが、
グッチョリンの再生能力は相応の疲労を伴うのだ。

傷の再生に力を使い過ぎれば体力を削られ、
ヌドロゥは負けていたことだろう。
ミレイは彼女が思っていた以上にヌドロゥを追い詰めていたのだ。

だからこそ、ヌドロゥにとってミレイの提案は渡りに船だった。
馬鹿正直なミレイなら簡単に罠に嵌めることができると
ヌドロゥは考え、実際にその通りに事が運んだのだから。

「ウジュウゥゥ……」

ヌドロゥはうちの衝動を抑え、傷と体力の回復に努める。
回復後に、目の前の少女たちを蹂躙する様を夢想しながら。


【ミレイ@炎の精霊サラマンダー 死亡】
【残り人数 45名(内ジョーカー7名)】


【D-2/館/1日目 1:00~】

【アイシス@精霊使い】
[年齢]:14
[状態]:健康
[武器]:聖銀のナイフ×10
[防具]:魔術師のローブ
[所持品]
・アイシスの袋
 ・基本支給品一式
 ・戦の魔女の槍
 ・聖王の胸当て
 ・ミレイの首輪
 ・(不明の道具)
・ミレイの袋
 ・基本支給品一式
 ・ヒールポーション
[思考・状況]
1.殺し合いを止める
2.マシロとヤミナデを探す
3.精霊を見つけたら力を貸してもらう
4.サラマンダーを殺したグッチョリンを警戒


【チコリ@土の精霊ソイル】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・チコリの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の道具)
[思考・状況]
1.アイシスに協力する
2.殺し合いにも生死にも興味が無い

※支給された木槌と木の盾は土に還しました。


【ヌドロゥ@グッチョリン】
[年齢]:不明
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・なし
[思考・状況]
1.殺しを楽しむ
2.傷が再生したらアイシスとチコリを襲う


『参加者・ジョーカーの現在地』
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