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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 033.でこぼこカルテット

夜の平原を、紫色の髪をツインテールにした青いローブの少女と
短い銀髪に薄い茶色の服を着た褐色の肌の少女が歩いていた。

見習い魔術師のスラリカとサイギル族の戦士ナリディである。

スラリカは杖を手に持ち、護符を身に着けており、
ナリディは剣と胸当てを装備していた。
これらはもちろん、彼女たちの支給品である。

彼女たちはお互いの支給品を確認した後、
とりあえずは一番近そうなE-1の神殿へと
向かうことにしたのだ。

「……じゃあ、スラリカさんはそのロイさんと
 キールさんと一緒に冒険者をしているんですね」
「うん、そうなの。
 ロイ君は剣士で、キールさんは私と同じ魔術師でね……。
 ロイ君は私と同じで冒険者になったばかりなんだけど、
 キールさんは結構長い間やってるベテランなんだって」
「そうなんですか。
 でも珍しいですね、剣士一人に魔術師二人なんて……」
「そ……そうかな?
 そういえば、ココットって人はどんな人なの?」

自分の仲間のことをナリディに話していたスラリカは、
次はナリディの仲間について聞いてみる。

ナリディの仲間であり、この殺し合いに
参加しているココットとは、どんな人間なのか。

これを知っておくことは、スラリカにとって大切なことだ。
余裕のある今のうちに確認しておくべきことだろう。

「そうですね……とても強い人なんですけど、
 何を考えているか分からないところがありますね。
 でも、よく私の稽古に遅くまで付き合ってくれるし、
 優しい人だと思いますよ。……たぶん、きっと」
「……なんで、自信無さげなの?」
「いや、その……稽古でズタボロに
 叩きのめされたのを思い出しちゃって……。
 割と容赦ないんですよね、あの人……」
「そ……そうなんだ……」

そんな風に、二人は自分の仲間について話すことで
殺し合いに対する不安を紛らわせていた。

「……あと、私のことはスラリカでいいよ。
 年も同じくらいだし……」
「分かりました。
 じゃあ、これからはスラリカって
 呼ばせてもらいますね」
「う……うん……。
(別に敬語もいらないんだけどなぁ……)」

生真面目で丁寧なナリディの言葉に、
スラリカは思わず苦笑を浮かべる。

そうしているうちに、ようやく神殿が見えてきた。
とりあえずの目的地が見えてきたことに、
二人ともほっと一息つく。

しかし、その後すぐにナリディの足が止まる。

「……ナリディ?」

不審に思ったスラリカが振り返る。

「……スラリカ、何か聞こえませんか?」
「……え?」

ナリディの言葉に、スラリカは耳を澄ましてみる。
すると、神殿の近くの森から微かに少女の泣き声が聞こえてきた。

「!……これって……!?」
「……急ぎましょうっ!
 もしかしたら、殺し合いに乗った人に
 誰かが襲われているのかも……!」
「あっ!?ま……待ってっ……!」

ナリディはすぐさま泣き声の聞こえるほうに向かっていき、
その後を慌てて、スラリカは追いかけていった。




E-1の森の中。
そこには、少しくすんだくせっ毛の茶髪を肩まで伸ばし、
白と茶を基調としたエプロンドレスを着た少女の姿があった。

その少女……エリスは、首輪の爆発によって妹のアリスを
失った哀しみで、未だに座り込んで泣き続けていた。

「……アリス……!ぐすっ……!アリスゥっ……!」

妹の死をひたすら哀しみ、泣き続けるエリス。
それを困ったように、木陰から覗き込む者が一人。

風の精霊シルフの、ルーシーである。

(んー、困ったなぁ……。
 とりあえず、声のするほうに来てみたけど、
 なんか、今話しかけたら面倒くさそー……)

殺し合いに乗ってなさそうな参加者に出会ったのは良いが、
あの様子では、まともに話ができそうにない。

そう思って、ルーシーはエリスが落ち着くまで
木陰で待ち続けることに決めたのだった。

しかし、しばらく待ち続けた後、ふとルーシーは気が付く。

(……あれ?よく考えたら、これってチャンスじゃね?)

少女は無防備に泣き続けている。
おそらく、支給品の確認すらしていないだろう。

そして、少女はどうみても、一般人の人間。
ならば、支給品を奪って逃げることは難しくない。
もし気が付かれたとしても、コンフュージョンの魔法で
混乱させてやれば、何の問題もないはずだ。

(……いや、むしろ……殺れるんじゃねっ!?
 いくらアタシでも、あんな弱っちそうな人間くらいは
 余裕でいけるっしょっ!?)

腐っても、こちとら精霊なのだ。
一般人の人間よりは強い自信がある。
ここでキルマークを稼いで、勢いを得るのも悪くない。

(くっくっくっ……!
 そうと決まったら、さっそく……!)

ルーシーは邪悪な笑いを浮かべながら、
ゆっくりとエリスの背後から近付いていく。

そして、不意の一撃をエリスに加えようと……。

「……そこの人、大丈夫ですかっ!?
 何があったんですかっ!?
 誰かに襲われたんですかっ!?」
「ひゃわああああぁぁぁぁぁっ!!?」
「ひあああああぁぁぁぁぁぁっ!!?」

しかし、いきなり背後から聞こえてきた声に、
ルーシーは驚いて思わず悲鳴を上げてしまい、
それを聞いて、背後の人物……ナリディも驚いて悲鳴を上げた。

「えっ……!?な、なに……!?」

二人の少女の悲鳴に、さすがにエリスも泣くのを止めて、
びっくりして後ろを振り返る。

「ナ……ナリディ、大丈夫っ!?
 さっきの悲鳴は何っ!?何かあったのっ!?」

そして、ちょうどそこに、遅れて駆け付けたスラリカが
慌てた様子でナリディに声をかける。

かくして、ルーシーの企みは未遂に終わったのだった。




ルーシーとナリディが落ち着いた後、
全員が殺し合いに乗っていないということを確認し、
四人の情報交換が始まった。
(ちなみに、ルーシーはエリスを襲おうとしたことを
 適当にごまかして、猫を被ることにした)

最初に、各々の自己紹介と支給品の確認。
スラリカとナリディは既にお互いの支給品を
確認・交換していたが、情報を共有するために、
四人全員で支給品を見せ合うことにした。

まず、スラリカの支給品は
ミスリルで造られた長剣と銅製の簡素な胸当て、
そして強力な竜巻を発生させる暴風の魔石だ。
長剣と胸当ては魔術師であるスラリカには使えないので、
スラリカはすぐに戦士のナリディへと譲った。

次に、ナリディの支給品は
柊でできた杖、毒を防ぐ浄化のこけし、
そして傷や魔力、状態を完全回復する黄金竜の霊薬だ。
杖は魔術師であるスラリカに必要だったので、
長剣と胸当てをもらっていたナリディは
快くスラリカに杖と、ついでにこけしを譲った。

続いて、エリスの支給品は
鉄パイプに囚人服と、武具についてはハズレだった。
しかし、道具のほうは回復アイテムセットという、
キュアポーション、ヒールポーション、ネクタル、ハイネクタル、
ファイト一発、治癒の霊薬、活力の霊薬、ナヤマの霊薬が
それぞれ一つずつ入っている小箱であり、大当たりだった。

最後に、ルーシーの支給品は、
前話でも述べたように、巨神の大斧、覇王の鎧、混乱の魔石だ。
いずれも有用なものだが、ルーシーには全て不要なものだ。
さらに言うなら、巨神の大斧も覇王の鎧も、戦士とはいえ
まだ身体の小さな幼いナリディには到底扱えるものではなかった。

全員の支給品を確認した後、ルーシーが提案する。

「よしっ!とりあえず、支給品の交換をしようぜぃっ!」

ルーシーにとっては、自分の支給品は不要なものばかりなのだ。
ならば、他の者の支給品と交換して、少しでも自分に有用なものを
確保しておきたかったのだ。

「そうですね……たしかに、魔術師のスラリカや、
 同じ効果の魔法を使えるルーシーが魔石を持っていても、
 あまり意味がないですし……」

ナリディもルーシーの意見に賛同する。

「えっと……それなら、エリスに二つともあげたらどうかな?
 エリスは戦う力が無いみたいだし、いざというときに
 自分を守る手段があったほうが安心できると思うけど……」

スラリカがエリスに視線を向けて、控えめに意見を述べる。
それに、ルーシーは諸手を上げて賛成する。

「んじゃ、エリスの回復アイテムセットと交換ってことでっ!
 いいよね、エリスっ!?」

ルーシーがエリスに確認するが、
エリスは沈んだ顔で俯いているだけだった。

「おーい、エリスっ!?聞いてんのっ!?」
「ちょ……ちょっと、ルーシー……!」

エリスに詰め寄るルーシーを、慌ててスラリカが止める。
自己紹介のときに、エリスが殺し合い前の部屋で
妹のアリスを失ったということは聞いていた。
エリスの気持ちを思うと、そっとしておいてやりたいと
スラリカは思っていたのだ。

二人の諍いに、さすがに何も言わないわけにはいかないと思ったのか、
エリスは暗い顔を向けて、一言だけ呟いた。

「……好きにしてくれて、構いません……。
 私は……今は、何も考えたくないです……」
「えっ!?マジでっ!?
 じゃあ、支給品全部もらってもいいのっ!?」
「いや、ちょっと、ルーシーっ!?」
「はい、構いません……」
「いやいやいやっ!?駄目だよ、エリスっ!?
 いくら何でも、自暴自棄になりすぎだよっ!?」

自暴自棄になっているエリスと、
エリスの言葉に目を輝かせるルーシー。
そんな二人を、スラリカが必死に止める。

その光景を見ながら、ナリディは溜息を一つ吐いて、
皆に話しかける。

「……落ち着いてください、皆。
 確認ですけど、とりあえず四人で行動すると
 いうことでいいですよね?」
「う、うん……」
「……まぁ、流れ的にそうなるっしょ。
 (そのほうがアタシも安全だし)」

ナリディの言葉に、スラリカとルーシーは頷く。

「なら、回復アイテムを誰が持つかは、
 そこまで問題にはならないと思いますよ。
 もし誰かが怪我をしたら、誰が持っているかに
 関わらず、必ず使うでしょうしね」
「……あ、そっか……」
「む……」

ナリディの言葉に、スラリカは納得し、
ルーシーは言葉に詰まる。

やはり、殺し合いという物騒な場で他人を信用することを
無意識に避けていたのか、支給品が共有物だという考えが
そもそも頭になかったのだ。

そのことに気が付いたスラリカは、反省する。

(……私、冒険者なのに、駄目だなぁ……。
 皆でパーティを組んで動くんだから、
 ちゃんと全体を考えなきゃいけないのに……)

やはり、自分はまだまだ経験不足なのだと、
スラリカは落ち込んでしまう。

……ちなみに、たとえパーティを組んでいようが、
回復アイテムの分配は戦いに身を置く者としては
最重要の問題であり、一緒に行動するからといって
それを軽んじるのはよくないことだ。

複数人で行動するなら、場合によってははぐれることもある。
その場合、一人でもある程度は問題ないように分配しておくべきだ。

また、霊薬などは戦闘中にも使用することが可能なのだから、
治癒の霊薬は前衛のナリディ、活力の霊薬は後衛のスラリカが
持っておくほうが戦術的に有効だろう。

要するに、諍いを止めようとして意見を述べたナリディ自身も
まだ経験の浅い新米だということである。

「……んじゃ、とりあえず、絶賛落ち込み中で
 いざというときに動けないかもしれないエリスより、
 アタシが持ってた方がいいよねっ!」

ナリディの言葉に考え込んでいたルーシーは、
思いついたようにそう言うと、嬉々として
エリスの回復アイテムセットをひったくってしまった。

ナリディとスラリカは呆れたようにそれを見ていたが、
もう何も言わなかった。

それを横目で確認しながら、ルーシーはほくそ笑む。

(ふっふっふっ……!上手くいった……!
 とりあえず、重要な回復アイテムは確保できたぞ……!)

もちろん、ルーシーは仲間のために回復アイテムを使う気などない。
仲間が怪我をしても、適当に理由を付けて使わずに済ますつもりだし、
不審を持たれたら、そのまま姿をくらませるつもりだ。

それどころか、ルーシーは仲間の負傷具合によっては、
自分でトドメを刺してやろうとも考えていた。

(……さてさて、次は何をすればいいかな?)

ルーシーは自己の保身のために、何が重要かを考える。

支給品と肉盾は確保できた。
次に自分が生き残るためにすべきことは、何か?

(……そうだなぁ、足手まといの排除とか?)

ルーシーはちら、と未だに暗い表情を浮かべているエリスに目をやる。
自己紹介の後は会話にもほとんど参加せず、俯いているだけの少女。
肉体的にも、精神的にも、ルーシーにとって何の役にも立ちそうにない。

(でも、まぁ……とりあえずは、様子見といこうかね……。
 あんまり派手に動いて、他の二人に怪しまれるのもやだし……)

戦士のナリディと魔術師のスラリカは貴重な戦力だ。
たとえ新米とはいえ、戦闘では役に立ってくれるだろう。

エリスを排除する場合、もし見つかったら二人とは敵対するだろう。
せっかくの肉盾をそんなことで失うのは、避けたい。

ひとまずは大人しくしておこうとルーシーが決めた後、
ナリディがエリスに話しかける。

「……エリスさん、立てますか?
 とりあえず、ここから移動しましょう。
 私たちについてきてください」
「…………」

ナリディの問いかけに、エリスは何も答えない。
しかし、のろのろと立ち上がったところを見ると、
従う気はあるようだ。

それにナリディとスラリカは安堵し、
ルーシーは内心で舌打ちする。

「えっと……それでどこにいくの、ナリディ?」

スラリカがナリディに問いかける。
今までの流れから、この四人の中では
ナリディが全体のまとめ役となっていた。

「そうですね……。
 やっぱり、さっき行きそびれた
 神殿に向かいましょう」

エリスの声が聞こえたことで、こちらに走ってきたが、
ナリディとスラリカの目的地は元々は神殿だったのだ。

エリスの泣き声や、ナリディたちの悲鳴が響いても、
神殿から誰も姿を現さなかったことを考えると、
人がいる可能性は低いかもしれない。

それでも、中を確認しておくことは
決して無駄ではないだろう。

「うん、分かった。
 ……ほら、エリス。一緒に行こう?」

スラリカはナリディの言葉に頷くと、
エリスに呼びかけて、彼女の手を取る。

相変わらず、エリスの反応は芳しくないが、
それでも、スラリカに頷いて、歩き出した。

「よーしっ!出発しんこーっ!」
「……自分で動いてくださいよ、ルーシー」

ナリディの頭の上に乗って楽をしようとするルーシーを、
ナリディはジト目になりつつも、払いのけはしなかった。

一部不穏なものを抱きつつ、彼女たちは神殿へと向かうのだった。


【E-1/森/1日目 1:00】

【エリス@家事手伝い】
[年齢]:15
[状態]:健康、悲しみ
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・エリスの袋
 ・基本支給品一式
 ・鉄パイプ
 ・囚人服
 ・混乱の魔石
 ・暴風の魔石
[思考・状況]
1.アリス(双子の妹)の死に絶望


【ルーシー@風の精霊シルフ】
[年齢]:不明
[状態]:健康
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・ルーシーの袋
 ・基本支給品一式
 ・巨神の大斧
 ・覇王の鎧
 ・回復アイテムセットの小箱
 (キュアポーション、ヒールポーション、
  ネクタル、ハイネクタル、ファイト一発、
  治癒の霊薬、活力の霊薬、ナヤマの霊薬)
[思考・状況]
1.自分の生存を最優先
2.スラリカとナリディを利用する
3.足手まといのエリスはできれば排除したい


【スラリカ@魔術師】
[年齢]:14
[状態]:健康
[武器]:柊の杖
[防具]:浄化のこけし
[所持品]
・スラリカの袋
 ・基本支給品一式
[思考・状況]
1.ナリディ、エリス、ルーシーに付いていく
2.ココットを探す


【ナリディ@サイギル族】
[年齢]:13
[状態]:健康
[武器]:ミスリルの長剣
[防具]:銅の胸当て
[所持品]
・ナリディの袋
 ・基本支給品一式
 ・黄金竜の霊薬
[思考・状況]
1.スラリカ、エリス、ルーシーと行動する
2.ココットを探す


『参加者・ジョーカーの現在地』
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