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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 027.湖にて

A-3の町を目指して、
警備兵アリル、魔石職人イレーナ、夢の精霊バクのレムは
東へと歩を進めていた。

湖に沿って進んでいた三人だが、
やがて湖にも終わりが見えてきた。

「湖はここで終わりみたいですね」
「……ってことは、ここはB-2の大体真ん中くらいだな」

アリルの言葉を聞いて、袋から地図を取り出した
イレーナが現在地を確認する。

「町まではあと半分というところですね。
 せっかくなので、湖で水の補給でも……」
「……待って……!」

水筒を取り出そうとしたアリルをレムが制止する。

「……何か?」
「精霊の気配が……近づいてくる……!」
「っ!」

レムの言葉に、アリルはすぐに水筒をしまってクロスボウを構える。

「……どこからですか?」
「向こう……東のほうからよ……!」
「進む先と同じか。友好的なヤツならいいんだがなぁ」

肩に担いでいた釘バットを握り締めて、イレーナが呟く。

そして、警戒する三人の前に現れたのは……。

「……あら?ユンフェお母様、参加者が三人もいますよ」
「ホントダネ。精霊ノ気配ハシタケド、他ニモイタンダネ」

二人の水の精霊ウンディーネ、ユンフェとナターシャだった。

「ウンディーネ……!」

レムが警戒して、咄嗟に杖を構える。
しかし、アリルがそれを手で制して、
ウンディーネたちに話しかける。

「……そこのお二方、少しよろしいですか?
 私たちは殺し合いに乗るつもりなどありません。
 貴女方はこの殺し合いでどのように動くつもりですか?」
「安心シテ。私タチ、殺シ合イナンテスルツモリナイヨ」

ユンフェの答えを聞いて、アリルとイレーナは肩の力を抜く。
しかし、レムは警戒を解かず、鋭い声で詰問する。

「……待ちなさい……アンタたち、どういう関係……?」
「?……質問ノ意味ガ分カラナイヨ?」

首を傾げるユンフェに、レムは声を荒げる。

「……今、そっちのウンディーネはアンタのことを
 『お母様』って言ったわよね……!?」
「……ソレガ、何?」

ユンフェが目を細めて、レムを見る。

「……おいレム、どうしたんだ?
 アイツら同じ種族の精霊っぽいし、
 母娘でも別におかしくなんか……」

イレーナが戸惑った様子で、レムに問いかける。
それに対して、レムはユンフェたちを睨んだまま答える。

「……ウンディーネは、気に入った人間を
 自分と同じ身体に変えて仲間を増やすのよ……」
「なっ……!?まさかっ……!」

レムの言葉に、アリルは弾かれたようにナターシャを見る。

「いや、ちょっと待てよ、おい?
 どういうことか、分かんねぇんだけど?」

頭の上に疑問符を浮かべながら、イレーナはレムに聞き返す。
それに、レムが苛立った声で説明する。

「……鈍いわねっ!
 殺し合い開始から1時間程度でウンディーネが二体っ!
 そして片方はもう片方を『お母様』と呼んでいるっ!
 ウンディーネは人間をウンディーネに変えることが可能っ!
 ここまでいえば、分かるでしょっ!?」
「……げっ、まさか……!?」

レムの説明でようやく得心がいったのか、
イレーナが顔をしかめてウンディーネたちを見る。

「……ユンフェさん、でしたか?
 いくつかお聞かせください」

アリルが一歩前に進み出て、ユンフェを睨み付ける。

「貴女は……そちらの方をウンディーネにしたのですか?」
「……ソウダヨ」
「ウンディーネにしたのは、この殺し合いでですか?」
「ソウダヨ」
「……それは、なぜ?」
「ソウスレバ、仲間ガ増エルカラ」
「……人間のままでは、仲間になれないということですか?」
「……ソウダネ。生キ残レルノハ一人ダケダカラ」

ユンフェのその言葉を聞いたアリルは、
素早くクロスボウをユンフェに突き付けた。

「……貴女は先ほど、殺し合いはしないと言った。
 それは嘘だったというのですか?」
「嘘ジャナイヨ。ダッテ、皆仲間ニスルンダカラ。
 皆仲間ニシテ、確実ニうんでぃーねヲ生キ残ラセルノ」
「っ……!」

アリルは確信する。

(彼女は……敵だ……!)

アリルは薄笑いを浮かべるユンフェを睨み据え、
彼女に向けてクロスボウの引き金に指をかける。

「……やめてっ!お母様に何をするのっ!?」

しかし、アリルとユンフェの間にナターシャが割って入る。

「っ!?」

アリルはそれを見て、躊躇する。

ユンフェは敵だ。
それは間違いない。

しかし、ナターシャは元人間。
彼女はただの被害者なのだ。

それを問答無用で撃つことなど、
アリルにはできなかった。

「くっ……!」

ナターシャを撃つことを躊躇するアリルを見て、
ユンフェは首を傾げてアリルに問う。

「……ネェ、人間ノオ嬢サン?
 別ニ私ハコノ子ヲ殺シタワケジャナイヨ?
 生マレ変ワラセタダケナンダヨ?
 ……ソレナノニ、貴女ハ私ヲ殺スノ?」
「!?……そ、それは……!」

殺す、という言葉にアリルの身体が固まる。

確かに、ユンフェは人を殺したわけではない。
人間をウンディーネにしたという事実は許されることではないが、
だからといって、それは殺すほどの罪なのだろうか?

しかし、ユンフェをこのまま野放しにするわけにも……。

「……アリルっ!!」
「っ!?」

と、そこでイレーナの声でアリルは我に返る。
見ると、ユンフェはアリルのすぐ目の前まで移動していた。

慌ててユンフェから離れようとするアリルだが、
ユンフェの動く方が早い。

ユンフェはアリルを両手で包み込んで捕まえると、
自らの唇をアリルのそれに優しく重ね合わせた。

「んぅっ……!?」

いきなり唇を奪われたアリルは訳が分からずに混乱する。
顔を赤くして、じたばたと暴れてユンフェから逃れようとする。
しかし、ウンディーネはその華奢で美しい外見とは裏腹に、
人間よりもずっと強い力を持った精霊だ。

警備兵という職業柄、一般人よりは身体を鍛えているが、
まだ16歳の少女であるアリルには振りほどくことはできなかった。

「……チュッ……ジュル……」
「んぅぅっ……!けふっ……!っは……!」

ユンフェがアリルの唇をいやらしく弄ぶうちに、
アリルの頭は霞みがかったようにぼーっとしてきた。

「……てめぇ、アリルを放しやがれっ!!」

イレーナがユンフェに釘バットを振り下ろそうとするが、
それを遮るように地面から氷の刃が突き出してきた。

「うおっ!?」

イレーナは間一髪、後ろに飛んで逃げることで
氷の刃を回避することに成功する。

「お母様の邪魔はさせないわっ!!
 貴女の相手は私よっ!!」

氷の刃……アイシクルブレードの魔法で
イレーナを襲ったのは、ナターシャだ。

彼女は敵意に満ちた目で、イレーナを睨んでいた。

「くそっ……!おい、レムっ!
 コイツは私が何とかするから、お前はアリルを助けろっ!」
「なっ……!?む……無茶言わないでよっ……!?
 わ……私は夢の世界じゃなきゃ、ロクに戦えないのよっ……!?」
「ちっ……!じゃあ、これを使えっ!」

イレーナは舌打ちをして、自分のポケットから
炎熱の魔石を二つ取り出し、レムに放り投げる。

レムは慌ててそれらを受け取り、しかし迷うように視線を泳がせる。
その頼りない様子に、イレーナが怒鳴る。

「何してんだ、早く行けっ!!」
「ひっ……!?む……無理よっ……!
 わ、私がウンディーネに勝てるわけないじゃない……!」
「だからって、アリルを見捨てるのかよっ!!?」
「う、うぅぅ……!わ、分かったわよ……!」

レムは怯えながらも、アリルとユンフェのほうに向かっていった。
それを横目に、イレーナは改めてナターシャに向き直る。

ナターシャは底冷えのする笑顔をイレーナに向ける。

「ふふ、安心して……貴女も私と同じになるだけだから……。
 皆、仲間になって、お母様と一緒にここから脱出するのよ……」
「はっ、お断りだね。私は人間のまま、ここから脱出してやる」

イレーナはそう答え、雄叫びを上げてナターシャに向かっていった。




「……ぁ……っ……ぅぅ……」
「チュ……チュプッ……。
 フフ……モウ、何モ考エラレナイデショ……?
 私ノ口付ケヲ受ケタラ、頭ノ中ぐるぐるノ
 ぐちゃぐちゃニナッチャウカラネ……」

アリルの唇をひとしきり楽しんだユンフェは、
呆けた表情でぐったりしているアリルの頭を優しく撫で、
地面にゆっくりと寝かせてから、くるりと後ろを向く。

そこには、明らかに怯えた様子の逃げ腰のレムがいた。

「……何カ用?夢ノ精霊サン?」
「ア……ア、アリルをはな、放しなさいっ……!
 さ、ささ、さもないとっ……!」

歯の根が合わないのか、噛みまくりで告げるレムに
ユンフェは冷たい視線を向ける。

「……精霊ノ貴女ハ仲間ニデキナイシ……
 邪魔ヲスルナラ、容赦ハシナイヨ?」
「!……う……うあああぁぁぁぁっ!!」

レムは恐怖で叫びながら、炎熱の魔石を二つとも
ユンフェに向かって投げつける。

魔石が光って砕け、生み出された大量の炎の雨が
ユンフェの水の身体を襲う。

「!?……グッ……アアアァァァッ!!」

夢の中でしか力を発揮できない精霊だと、
レムのことを馬鹿にしていたユンフェは、
油断して炎の雨をまともに受けてしまった。

「!……や、やった……!?」

悲鳴を上げるユンフェを見て、レムの目に希望が宿る。

「グ……ウゥ……!」

しかし、ダメージを受けたもののまだ余力のある
ユンフェの姿を見て、レムは再び焦る。

(ア……アリルを起こして、戦わせないと……!)

自分では無理だと判断したレムは、急いでアリルのほうに
飛んでいって、アリルを揺すって起こそうとする。

「……アリルっ!!起きなさいよっ!!
 起きて、アイツと戦ってっ!!
 早くしないと、皆殺されるわよっ!!?」
「……う……くっ……!」

頭を振りながら、ふらふらとアリルは起き上がる。

「ほらっ!武器を持って、アイツと……!」
「……ソコマデダヨ」

底冷えのする声とともに、ぞぐっという音が聞こえてきた。

「……え?」

レムが視線を落とすと、身体に氷の刃が突き立っていた。

「……う……あ、あぁ……!?」
「!……レ、レム、さん……!?」

レムの窮地を見て意識がはっきりしたのか、
アリルがレムに駆け寄ろうとする。

しかし、それよりも早くレムの身体は無数の氷の刃に
ぐさぐさと貫かれて、見るも無残な姿になってしまう。

「い、ぎぃぃあああぁぁ、ぁぁアァァっ!!!?」

あまりの激痛に、レムの喉から凄まじい絶叫が迸る。

「ウルサイヨ」

レムの絶叫とは対照的な静かな声が響き、
それと同時に、レムの身体が氷の刃に
バラバラに引き裂かれて散った。

「……あ……ぁ……!」

アリルは愕然と目を見開いて、それを見ていた。

レムが氷の刃に切り刻まれ、激痛に泣き叫ぶ姿を。
無慈悲にばらばらにされ、散っていく姿を。

そんなレムの最期を、ただ見ているしかなかった。

「……お母様、大丈夫ですかっ!?
 あの精霊のせいで、怪我をっ……!」
「大丈夫ダヨ、なたーしゃ。
 コノクライ、大シタコトナイカラ。
 ソレヨリ、ソッチハ終ワッタノ?」
「は、はいっ!あの茶髪の女はあそこで倒れてますっ!」
「ソウ。ヨクヤッタネ、なたーしゃ。イイ子、イイ子」
「え……えへへ……」

ユンフェがナターシャの頭を優しく撫でて、
ナターシャがそれに嬉しそうに顔を綻ばせる。

しかし、アリルはそんなやり取りなど目に入らず、
ナターシャのやってきた方向にゆらりと目を向けた。

そこには、血塗れで倒れたイレーナの姿。

アリルはその光景に、絶望する。

(……わ……私の、せいで……!)

自分がユンフェを攻撃することを躊躇して、
不意打ちを受けたから、こんなことになった。

レムは夢の世界でしか力を使えないのに、
ユンフェと戦って、殺されてしまった。
イレーナは戦闘経験もない一般人なのに、
ナターシャと戦って、重傷を負った。

それも全て、アリルを助けようとしたからだ。

(……わ、私が……ちゃんと、していれば……!)

後悔ばかりが頭を巡り、アリルはおかしくなりそうだった。

「……ソレジャ、サッソクコノ子タチヲ仲間ニシナイトネ」
「はいっ!お母様っ!」
「……!」

しかし、ユンフェたちのその言葉を聞いたとき、
アリルの胸中に後悔以外の感情が生まれた。

「……ふざけ……ないで、くださいっ……!」

大人しくしていたアリルがいきなり喋り出したことに、
ウンディーネの二人は少し驚いた顔を見せる。

「……誰が……誰が、貴女たちの仲間になんて、
 なってやるものですかっ……!」

アリルは傍に落ちていたクロスボウを手に取り、
ウンディーネたちに向ける。

「……マダ抵抗スルノ?
 モウ諦メタホウガイイト思ウケド?」
「……黙りなさいっ!!
 何が『殺し合いに乗っていない』ですかっ!!
 こんな外道なことをしておいて、よくもっ……!!」

怒りに満ちたアリルの顔を見て、ユンフェは溜息を吐く。

「……なたーしゃ、手伝ッテ。
 コノ子、大人シクサセルカラ」
「はい、お母様」

ナターシャはユンフェの隣に並び、アリルと対峙する。
それを睨み付けながら、アリルは胸中で怒りを燃やす。

(……今度は、躊躇しないっ……!!
 外道どもめっ……私が、必ず殺すっ……!!)

未だかつて、一度も抱いたことのなかった殺意という感情。
アリルはそれを全身に漲らせ、ウンディーネたちと向かい合う。

しかし、アリルは気が付いていなかった。
殺し合いに屈するつもりはないと宣言した彼女が、
今は殺意に身を委ねて仲間の仇を取ろうとしている。

それは、彼女自身が否定した殺し合いの一つの形であることに。


【レム@夢の精霊バク 死亡】
【残り人数 47名(内ジョーカー8名)】


【B-2/湖/1日目 1:00~】

【アリル@警備兵】
[年齢]:16
[状態]:疲労(小)、殺意、『精霊の口付け』による思考力低下
[武器]:クロスボウ(ミスリルボルト装填済み)、ミスリルボルト×19
[防具]:鉄の胸当て
[所持品]
・アリルの袋
 ・基本支給品一式
 ・眼力拡大目薬×3
[思考・状況]
1.ユンフェとナターシャを殺す
2.A-3の町で魔石用の石と参加者を探す


【イレーナ@魔石職人】
[年齢]:17
[状態]:気絶、疲労(小)、ダメージ(大)、血塗れ
[武器]:釘バット
[防具]:頑張り屋のハチマキ
[所持品]
・イレーナの袋
 ・基本支給品一式
[思考・状況]
1.A-3の町で魔石用の石を探す


【ナターシャ@水の精霊ウンディーネ(元貴族)】
[年齢]:0(元17)
[状態]:疲労(小)、魔力消費(小)
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・ナターシャの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の防具・道具)
[思考・状況]
1.ユンフェに従う
2.アリルを大人しくさせる

※人間の時の記憶はほとんど失っています。


【ユンフェ@水の精霊ウンディーネ】
[年齢]:不明
[状態]:ダメージ(中)、疲労(小)、魔力消費(小)
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・ユンフェの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.他の参加者をウンディーネにする
2.ウンディーネを生き残らせる
3.アリルを大人しくさせる


※B-2の湖近くには、以下のものが落ちています。
・第三階位魔術師の杖
・攻撃の霊符
・レムの袋(基本支給品一式、ネクタル×2)
・レムの首輪


『参加者・ジョーカーの現在地』
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