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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 015.人間の正義

金髪碧眼の青い服の女性……クリスティーナは憤慨していた。

「おのれっ……!あの男、何が殺し合いだっ!
 このような非道な行い、決して許されると思うなよっ!」

クリスティーナは騎士だ。
貴人に仕え、国を守るために戦う騎士である彼女にとって、
殺し合いという低俗で野蛮な催しは許せるものではなかった。

「待っていろ、人の皮を被った鬼畜めっ!
 すぐに私が神に代わって罰を下してやるっ!」

クリスティーナは拳を握り締め、決意を露わにする。

「……さて、大義を為すには武器が必要だな。
 ヤツらの寄越した物を使うのは癪だが、背に腹は代えられまい」

クリスティーナは傍らの袋に手を入れて、中身の確認を始めた。

袋の中に入っていたのは、白銀で造られた長剣と鉄製の頑丈そうな鎧、
そして疲労を回復するドリンク、ファイト一発が2本だった。

「ふむ、最低限の武装は支給されているか。
 鎧がいささか武骨すぎるのが気になるところだが、
 鬼畜の用意する代物に優美さを期待しても仕方あるまい」

クリスティーナは手早く鎧を装備して長剣を腰に差す。
さすがに騎士だけあって、その様子は手慣れていた。

「では動くか。まずは協力者を集めて首輪を外さねばな。
 その道程で力の無い者は守り、殺人者は討つ。
 無論、ジョーカーとやらも生かしてはおけん」

そして、クリスティーナは悠々と歩き始めた。




ところ変わって、C-2の森の中。
そこには、二つの影が存在していた。

影の一つは白いドレスを着た10代前半の幼い金髪の少女。
もう一つの影は、緑の髪に褐色の肌の小人の少女。

「えーと……じゃあ、貴女の名前はティマなのね?」

金髪の少女の問いに、緑髪の褐色の小人……
樹の精霊ドリアードの少女ティマはこっくりと頷いた。

「あぁ、良かった。言葉がしゃべれないのが分かったときは
 どうしようかと思ったけれど、意外と何とかなるものね」

金髪の少女はほっとしたように息を付く。

「じゃあ、改めて自己紹介しましょう。
 私はマグダレーネ。これでも貴族なのよ。
 ……っていっても、貴女には分からないかな?」

精霊であるティマには、貴族といっても伝わらないかもしれない。
案の定、ティマは不思議そうに首を傾げていた。
その様子に、マグダレーネは困ったように笑う。

「えーと……貴族っていうのは、人間の中でも偉い人が……。
 ……んー、その、人間にはそう呼ばれている人がいるのよ」

自分で自分を偉い人間だということに抵抗を感じて、
ついマグダレーネは説明を打ち切ってしまう。

「さてと……じゃあ、そろそろ行きましょう、ティマ。
 私たちだけじゃ危ない人に出会っても抵抗できないし、
 まずは守ってくれる人を探さないと」

首をかしげるティマを誤魔化すように、マグダレーネは出発を促す。
ティマが宙に浮いてマグダレーネの肩に乗るのを確認して、
マグダレーネは歩き出した。




「……む?」

しばらくの間、街道を進んでいたクリスティーナだが、
ふと何者かの気配を感じ取り、歩みを止める。

クリスティーナが視線を向けたのは、街道のすぐ脇に存在する森だった。

「……そこに隠れているのは分かっている。
 私は殺し合いなどするつもりはないし、危害を加えるつもりもない。
 そちらに害意がないなら、出てきてくれ」

クリスティーナが声をかけると、木の陰から一人の幼い少女が現れた。

「……私も殺し合いなんてするつもりはありません。
 なんとか首輪を外して、ここから出たいと思ってます」

少女のその言葉に、クリスティーナは微笑む。

「うむ、当然の考えだな。私に任せてくれ。
 私は騎士として、力の無い者を守るつもりだ。
 君の身もこの私が命をかけて守ることを約束しよう」

クリスティーナの言葉に、少女も安堵したように微笑む。

「……ありがとうございます、騎士様。
 心強いお言葉をいただけて、安心しました。
 ここから脱出するために、微力ながら私もご協力させてください」
「願ってもない言葉だ。こちらこそよろしく頼む」

クリスティーナは少女を安心させるために、力強く頷いた。




マグダレーネは安堵していた。
クリスティーナと名乗った女性は誠実で清廉、
まさに騎士の鑑というような人物だった。

この人ならきっと自分たちを守ってくれるだろう、と
マグダレーネは信じることができた。

クリスティーナが味方だと判断したマグダレーネは
隠れさせていたティマを紹介することにした。

「あの、騎士様……実はもう一人、仲間がいるんです。
 失礼ながら、騎士様がこの殺し合いに積極的だった場合を
 考えて、そこの木陰に隠れさせていまして……」
「なるほど、そうだったのですか。
 何、気にする必要はありませんよ、マグダレーネ嬢。
 むしろ、その慎重さはこの場においては大切なものです」

クリスティーナはマグダレーネが貴族だと聞いて、
いままでの非礼を詫びて敬語で話すようになっていた。

クリスティーナ自身も一応は貴族の位を持っているのだが、
それでも貴族であるマグダレーネに対して、平民に向けるような
口ぶりで話してしまったことを申し訳なく感じたための謝罪だった。

その誠実な態度もマグダレーネがクリスティーナを
信用した理由の一つだった。

……しかし、ここでマグダレーネはもう少し頭を働かせるべきだった。
クリスティーナが騎士であり、貴族であるということの意味を。

「ティマ、出てきて大丈夫よ。
 この人は殺し合いをするつもりはないわ」

マグダレーネの言葉にひょっこりと木から現れて、
二人へと近づいていくティマ。

そして。


ゾグッ。


「……え?」


白刃がティマを貫いた。


「……ティマ……?え……?」

ティマは胸から夥しいほどの血を吹き出しながら、
力を失って地面へと落ちていく。

マグダレーネは目の前で起こったことが理解できず、
落ちていくティマを茫然と眺めていることしかできなかった。

「……お怪我はありませんか、マグダレーネ嬢?」

しかし、自分の名前を呼ばれて、マグダレーネは我に返る。
声のした方向に顔を向けると、こちらを気遣うような顔をして
クリスティーナがマグダレーネを見ていた。

右手に、血に塗れた長剣を握りながら。

そう。
ティマを殺したのは、クリスティーナだった。

「……な……なん、で……?騎士、様……?」

クリスティーナがティマを殺した。
それがなぜなのか理解できず、マグダレーネは問う。

まさか、クリスティーナは自分を騙していたのか?

「?……なぜ、とは?」

マグダレーネの言葉の意味が理解できないようで、
クリスティーナはマグダレーネに問い返した。

「っ!……なんで……っ!?なんで、ティマをっ……!?」
「?……ティマ、とは……あの魔物のことですか?」
「……っ!」

クリスティーナの戸惑うような返答に、
マグダレーネはようやく理解した。

クリスティーナは、いきなり木陰から現れた魔物を
退治しただけのつもりだったのだ。
それもおそらく、マグダレーネを守るために。

精霊は他の魔物に比べれば凶暴性が低く大人しいものが多いが、
それでも、魔物であることには間違いがないのだ。
それを殺したところで、責められる謂れはないだろう。

加えて、クリスティーナは騎士だ。
冒険者や傭兵ならまだしも、潔癖で堅物な騎士なのだ。

精霊とはいえ、魔物であるティマを受け入れる可能性が低いことは、
マグダレーネが少し考えれば、すぐに分かるはずのことだった。

精霊を仲間として扱うことのできるマグダレーネのほうが
貴族としては特異な存在なのだから。

そんなことくらい、今まで貴族として過ごしてきたマグダレーネが。

偏見に満ちた他の貴族をずっと見続けてきたマグダレーネ自身が。

一番よく分かっていたはずなのに。

それでも。

「……騎士、様……!違うんです……!
 あの子は……!ティマは、悪い魔物じゃ……!」

それでも、マグダレーネは言わずにはいられなかった。

たとえ、自分の考えの至らなさが招いた悲劇だとしても、
ティマを殺したクリスティーナに言わずにはいられなかった。

マグダレーネが涙を流しながら訴える言葉を耳にして、
クリスティーナはしばし瞑目する。
そして目を開き、マグダレーネに喋りかけた。

「……なるほど、分かりました。
 つまり、マグダレーネ嬢はあの魔物に騙されていたのですね」
「っ!?」

クリスティーナの言葉に、マグダレーネは愕然と目を見開く。
そんなマグダレーネの様子を意に介さず、クリスティーナは続ける。

「良いですか、マグダレーネ嬢。
 魔物というのは凶暴で邪悪な存在であり、
 我々人間とは決して相容れないものなのです。
 もしかしたら、貴女はあの魔物と通じ合うものを
 感じたのかもしれませんが、それは錯覚です。
 魔物は倒すべき人間の敵であることを忘れてはいけません」

諭すようなクリスティーナのその言葉に、
マグダレーネは絶望するしかなかった。


クリスティーナが誠実で清廉な人間であり、
騎士の鑑のような人格者なのは、間違いない。

しかし、クリスティーナは容赦なくティマを殺した。

それが当たり前であるかのように。
常識であり、正義であるかのように。

いや、実際にそれは当たり前であり、常識であり、正義なのだ。
魔物が人間に危害を加える存在だということは、自明の理なのだから。

たとえ魔物の中に人間に危害を加えないものがいたとしても、
そんな数少ない例外を考慮して、攻撃の手を緩めるような
危険を冒す必要がどこにあるというのか。

特にこんな殺し合いの場で、敵であるはずの魔物を信頼するなど、
それこそ馬鹿のすることだ。

「どのような存在にも慈悲を忘れない心は尊いと思います。
 しかし、この場においてはその慈悲は害となります。
 魔物は敵だということを、どうか理解してください」
「…………」

クリスティーナの言葉に、マグダレーネは涙を流したまま俯く。
その様子を見て、これ以上の言葉を重ねても無駄だと感じたのか、
クリスティーナは袋を……ティマの袋も含めて手にして、立ち上がる。

「……長居をし過ぎました。そろそろ行きましょう。
 あまり見晴らしの良い場所に留まるのは、よくありませんからね」
「……待って……待って、ください……。
 せめて……あの子のお墓を、作らせてください……」

マグダレーネの言葉に、クリスティーナは渋い顔をする。
しかし、溜息を一つ吐き、それを了承する。

「……分かりました。たしかに、魔物とはいえ
 死者を弔うのは礼儀ですからね」

そして、二人はささやかなティマの墓を作り、ティマの遺体を弔った。

(ごめんなさい、ティマ……私がもう少し注意していれば、
 こんなことにならなかったかもしれないのに……)

マグダレーネはティマの死に対して、
悲しみと罪悪感で胸が潰れそうだった。




ティマの墓に向かって、涙を流しながら手を合わせる
マグダレーネを見ながら、クリスティーナは考えていた。

(……まいったな。こういう考え方をする人間がいることは
 知っていたが、実際に面倒を見るとなると、かなり厄介だぞ)

クリスティーナは難しい顔で考え込む。

もし、また魔物の参加者と出会ったとしたら、
この少女は自分が戦うのを止めるのだろうか。

いや、間違いなく止めるだろう。

その度に意見の衝突を繰り返すのは、よろしくない。
そんなことでは、下手をしたら信頼関係が壊れてしまって、
この少女は自分の元を黙って去ってしまうかもしれない。

(……それは困る。こんな何の力も持たない子供を
 一人で殺し合いの場に放るわけにはいかない。
 しかし、だからといって、魔物を見逃すわけには……)

クリスティーナは悩んでいた。

これから、マグダレーネに対してどう対応するべきか。
そして、再び魔物が現れたときにどう対応するべきか。

人間の正義を胸に抱く騎士は、思い悩んでいた。


【ティマ@樹の精霊ドリアード 死亡】
【残り人数 49名(内ジョーカー8名)】


【C-2/森近くの街道/1日目 0:30~】

【クリスティーナ@騎士】
[年齢]:19
[状態]:健康
[武器]:白銀の長剣
[防具]:鉄の鎧
[所持品]
・クリスティーナの袋
 ・基本支給品一式
 ・ファイト一発×2
・ティマの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.殺し合いを止め、主催者を打倒する
2.騎士として無力な人々を守る
3.殺人者や魔物(人外)、ジョーカーは殺す


【マグダレーネ@貴族】
[年齢]:12
[状態]:深い悲しみ
[武器]:なし
[防具]:なし
[所持品]
・マグダレーネの袋
 ・基本支給品一式
 ・(不明の武器・防具・道具)
[思考・状況]
1.ティマの死に対する悲しみと罪悪感


『参加者・ジョーカーの現在地』
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