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リョナラー連合主催バトルロワイアル(パロロワ) 011.人であらずんば

暗闇に包まれた洞窟の中。
その中に、ぽぅ……と明かりが灯った。

明かりによって照らされた洞窟の中には、
濃青色の長髪に黒いローブを着た小柄な姿があった。

「……ん、何とか明かりは灯せたわね」

安堵したように呟いたその女性の名は、フィナ。
魔術師ギルドに所属する第五階位の魔術師だ。

「じゃあ、さっそく……」
「……動くなっ!!」

袋の中身を確認しようとしたフィナは、
背後からの声に、びくっと肩を震わせる。

「ちょ、いきなり……!?いや、あの、私は怪しいものでは……!」
「うるさいっ!!そのまま手を上げて、こっちを向けっ!!」

フィナの言葉を遮って、後ろの人物はフィナを怒鳴りつける。

「わ……分かった……!分かったから、落ち着いてよ……!」

興奮した相手の様子に、フィナは逆らわないほうが良いと
判断して、相手の言うとおりにすることにした。

(だ……大丈夫……!声をかけてきたってことは、
 殺し合いに乗ってる可能性は低いはず……!)

少なくとも、いきなり殺される心配は無いはずだ。
フィナはそう思って、震える足でゆっくりと向き直った。

しかし、後ろの人物の姿を見て、フィナは目を丸くした。
なぜなら、そこにいたのは粗末な灰色の服を着た
10歳前後の生意気そうな紫髪の少女だったからだ。

「……なんだ、子供か……怖がって損した……」
「なっ……!?おい、ガキだからって馬鹿にするなよっ!?
 これが目に入らないのかっ!?」

フィナの言葉に激昂した少女は、手に持っていたナイフを
ずいっとフィナに近づける。
それを見たフィナの表情が驚愕に染まる。

「ふん、分かったなら、大人しく……」
「……ちょ、嘘っ!?ヤタガラスの短刀っ!?
 激レアの魔道具じゃないっ!?
 貸してっ!!もっと近くで見せてっ!!」
「あっ!?てめっ……!何すんだ、コラっ!?」

いきなりナイフに飛びついてきたフィナに、
紫髪の少女は慌てて逃げようとするが、
それより早くフィナの手が少女からナイフを
奪い取ってしまった。

「く……くそっ……!」
「……うわっ!?マジでヤタガラスの短刀じゃないっ!?
 すごい、本物なんて初めて見たわっ!!
 やーん、こんなレアな魔道具に触れるなんて、
 意外とこの殺し合いも悪くないじゃないっ!!」

いきなり気持ち悪いニヤニヤ顔でナイフを弄り始めたフィナに、
ナイフを取られて悔しがっていた少女は、ドン引きする。

「……何なんだ、こいつ……?」
「……はっ!?」

少女の呟きが聞こえたのか、フィナは我に返り、
少女に向かって、手に持ったナイフを突きつける。

「お……大人しくしなさいっ!
 何もしなければ、こっちも危害は加えないわっ!」
「…………」

フィナの警告に、少女は白けた顔で沈黙するしかなかった。




「……じゃあ、アンタは殺し合いには乗ってないんだな?」
「そうよ。それなのに、酷いじゃないの。
 いきなりナイフを突きつけてくるなんてさ」
「悪かったよ……でも、しょうがないだろ?
 こっちは乗ってるかどうかなんて分からないんだから……」

ひと悶着あったフィナと紫髪の少女だが、
お互いが殺し合いに乗ってないことが分かって、
両者とも警戒を解くことにしたのだった。

「……とりあえず、自己紹介ね。私はフィナ。
 魔術師ギルドに所属する魔術師よ」
「……え?アンタ、魔術師なのか?」

驚く紫髪の少女に、フィナは得意げに胸を張る。

「ふっ、そうよ。これでも第五階位を
 もらってる優秀な魔術師なんだからね」
「じゃあ、ヤバいヤツが出てきても
 アンタに任せりゃいいんだな」

その言葉に、フィナは固まる。

「……いや、あの、魔術師っていっても、
 私は主に頭脳労働が専門っていうか、
 荒事は勘弁してほしいなーっていうか……」
「……なんだ。アンタ、弱いのか」
「少なくとも、アンタよりは強いわよ!」

子供相手に情けないことを主張するフィナ。
そのことを自分でも自覚したのか、
コホンと咳払いをして、会話を仕切り直す。

「……それで、アンタの名前は?」
「アタシはテルシェ」
「……え?それだけ?」
「他に付け足すなら、スラム育ちの
 親無しの悪ガキってくらいかな」

紫髪の少女……テルシェの言葉に、フィナは納得する。
つまり、このテルシェという少女は浮浪児なのだ。

「……そう」

フィナは一言、それだけ呟いた。
何か他に言うべきかとも思ったが、やめておいた。
あまり口の良くない自分では、藪蛇になりそうな気がしたからだ。

次に、支給品の確認をしたところ、
フィナの支給品は、鉄の槍、命中の護符、
そして、回復力を向上させる再生細胞クッキーが3つ。

テルシェの支給品は、先ほどのヤタガラスの短刀に加えて、
ミスリルの鎧と、モンスターを呼び出す召喚の魔石が1つだった。

「……何だか、支給品の内容に差を感じるわ」
「なんだよ、アンタだって槍とか支給されてて
 恵まれてるだろ?鎧なんて、アタシには着れないしさ」
「私だって、槍なんかまともに使えないわよ。
 ……ねぇ、だったらアンタの短刀と私の槍、交換しない?」
「嫌だよ。アタシの体格じゃ槍なんて使えるわけないだろ。
 それにこのナイフって、結構良いモンなんだろ?
 体良く奪おうったってそうはいかないぜ」
「……むぅ」

テルシェの言葉に、フィナは不満そうな顔をする。
レア物の魔道具であるヤタガラスの短刀は、是が非でも
欲しかったのだが、そう上手くはいかないらしい。

フィナは溜息を吐きつつも、気持ちを切り替えて
袋から名簿を取り出す。

「……じゃあ、次は知り合いがいないか確認しないとね」
「アタシ、字が読めないんだけど」
「……仕方ないなぁ。メンドくさいけど、私が読み上げるわ」
「……すっげぇイヤそうだな」
「だって、メンドくさいんだもん」

仏頂面を浮かべながらも、フィナは名簿に記述された名前を読み上げる。

「えー……アイシス、アリル、アルフィ、
 ……(中略)……ディアナ、ティ……ディアナ?
 ふーん、アイツもいるんだ……」

ディアナの名前を確認したフィナは目を丸くする。
自分で言っておいて何だが、本当に知り合いがいるとは
思ってなかったのだ。

「おい、途中で止めるなよ」
「うっさいわね。知り合いがいたんだから仕方ないでしょ。
 えーと、ティマ、テルシェ、ナターシャ……(中略)……
 ……レティラ、レミル、レム、と。これで全部ね」

名簿を全て読み上げたフィナは一息つく。
テルシェはフィナの読み上げた最後の部分に反応する。

「……レミル?今、レミルって言ったのか!?」
「ん?アンタの知り合いなの?」
「スラムでよくつるんでる少し年上の姉ちゃんだよ!
 ……そうか、レミル姉ちゃんもここにいるのか」

テルシェは難しい顔をして考え込み始めた。

「?……どうしたのよ?もしかして、ヤバいヤツなの?」
「!……い……いや、違うって!知ってる人がいて、
 ちょっとショックだっただけだよ!」
「……まぁ、いいけど」

テルシェの様子が少し不審だったが、知り合いがいれば
普通はそんなものかもしれない、とフィナは思った。

(……私がちょっとドライ過ぎるだけかもね)

ディアナのことは全く心配してないわけではないが、
それでも今は自分の身の安全のほうが優先だ。

「……ところでさ、フィナ」
「……ん?何?」

考え事をしていたフィナは、テルシェに話しかけられて振り向く。
テルシェは真剣な顔で、フィナを見据えていた。

「……フィナは、人間じゃない参加者に
 出会ったらどうするつもりだ?」
「……そういえば、最初の部屋に明らかに
 人間じゃないのが結構いたわね」

テルシェに問われたフィナは、最初の部屋の光景を思い出す。

「……そうね……とりあえず、物陰に隠れて『サーチ』かな」
「……サーチ?」
「相手の強さを調べる魔法よ。
 ……で、相手が強かったら逃げる」
「……弱かったら?」
「んー、まぁ……一応、話し合う、かな……」

少し迷いつつも答えたフィナに、
テルシェは少し強い口調で確認する。

「……話し合うんだな?」
「……さすがに、問答無用ってわけにもいかないでしょ?」

何となく詰問されているような気分になり、
言い訳のようにフィナは答える。

「じゃあ……向こうから先に接触してきた場合は?」
「んー……そのときも、襲われたりしなきゃ
 できる限りは話し合うことにしましょう。
 ていうか、先手を取られたらそれしかないと思うけど……」

テルシェの言葉に答えつつ、フィナは少し困惑していた。

(……何でこの子、こんなに人外と出会った場合のことを
 詳しく聞くの?人外に対して、何かあるのかしら?)

それとも、単純に人間以外の存在に対してのスタンスを
この場ではっきりさせておこうというだけだろうか?

確かに、それは必要なことかもしれないが、
こんな子供がそんな細やかな部分に対してまで
考えたりするだろうか?

「……分かった。なら、それでいこう。
 じゃあ、そろそろ出発しようぜ」

テルシェの思惑について、フィナが思考を巡らせていると、
当のテルシェがその思考を打ち切るように出発を促してきた。

「……そうね。あまり長い間留まっても危険だし、
 荷物をまとめて移動するとしましょうか」

フィナはひとまずテルシェへの疑問を棚上げして、
移動を開始することにした。




荷物をまとめているフィナの背中を見ながら、
テルシェは先ほどのフィナの答えを思い出していた。

(……とりあえず、こいつは大丈夫かな)

人外の参加者に対しては、基本的には
まず話し合いをするというフィナ。

問答無用で攻撃するつもりはないというその言葉は、
ひとまず信用しても問題は無いだろう。

(……でも……油断は禁物だ……)

もし、人外の参加者が誰かに襲い掛かるところを見たら、
フィナは考えを変えるかもしれない。

人外はやはり危険だ、話し合いなど考えず殺すべきだ、と。

もしそうなった場合は……。

(……殺さなきゃ……そうしないと、レミル姉ちゃんが危ない……)

テルシェは右手に持った短刀に視線を落とし、目を細める。


アタシたちにいつも親切にしてくれる、レミル姉ちゃん。

自分だって食べるものがなくて困ってるくせに、
アタシたちに食べ物を分けてくれて。

弱いくせにチンピラに絡まれたアタシたちを守って、
いつも殴られて大怪我をして。

その翌日には大怪我がすっかり治ってるのを、
『身体が丈夫だから』とか苦しい言い訳をして。

額に巻いた布が解ける度に慌てて結び直して、
青ざめた顔に引き攣った笑いを浮かべて誤魔化して。

そのくせ、眠っているときに額の布をずらされても
全く気付かずに幸せそうに眠りこけてて。


そんな、お人好しで、馬鹿で、間抜けで、大好きなレミル姉ちゃん。


(……アタシが、姉ちゃんを守るんだ。
 場合によっては、人を殺してでも……)

テルシェは右手の短刀を強く握り締め、
異形の友人を守る決意を固めていた。


【C-1/洞窟/1日目 0:30~】

【フィナ@魔術師】
[年齢]:18
[状態]:健康
[武器]:鉄の槍
[防具]:命中の護符
[所持品]
・フィナの袋
 ・基本支給品一式
 ・再生細胞クッキー×3
[思考・状況]
1.とりあえずはテルシェと行動する


【テルシェ@スラム育ちの子供】
[年齢]:11
[状態]:健康
[武器]:ヤタガラスの短刀
[防具]:なし
[所持品]
・テルシェの袋
 ・基本支給品一式
 ・ミスリルの鎧
 ・召喚の魔石
[思考・状況]
1.レミルを探して合流する
2.人外(忌み子)に害意を持つ参加者は殺す
3.とりあえずはフィナと行動する

※レミルが忌み子だと気が付いています。
(レミル本人はそのことを知りません)


『参加者・ジョーカーの現在地』
genzaichi_rowa011.png


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